間取り診断のハウス設計 「家ができるまで」
はじめに
マイホームは夢であります。
そのマイホームを購入することは、人生の中で何回もあることではありません。
ほとんどの方は、家づくりは初めての体験です。
失敗しない家づくりをするためには、家ができるまでの流れをしっかりと理解し、各段階でのやるべきことや注意点を把握しておくことが大事です。
家ができるまでの流れ
0. 家が欲しい
1. 予算決め
建物への要望や資金繰りを考えて、総額を決めます。
※工事費とは
- 別途工事費 : 設備、外構、家具、カーテン、照明、解体、地盤改良、(設計料)
- 諸経費 : 税金、登記料、融資関連費用、地鎮祭、引っ越し
2. 敷地選定
- 敷地を購入するのであれば、予め選定しておきます。
- 請負業者を決めてから、一緒に探す方法もあります。
- 敷地条件としては、住みたい地域、災害に対する安全性、敷地の広さ・形状・日当たり・風通し、地盤の質、周囲の環境等があります。
3. 業者の選定
現場見学やインターネットなどで多くの情報を集め、その中から数社を絞り込みます。
※業者の種類と特長
- 地域の工務店(設計+建築) : 地域に密着していて、アフターケアも含めて小回りがきく。
- ハウスメーカー(設計+建築) : 工期が早く、品質が一定している。
- 設計事務所(設計)+工務店(建築) : デザイン性やオリジナリティがあり、工事監理もしてくれる。
- ※工事監理
- 建て主の立場になって現場をチェックし、設計図書(仕様書、配置図・平面図などの図面)どうりに工事が行われているかどうかを確認すること。
- ※工事管理
- 施工者の立場から、工事が適切に行われているかどうかを確認すること。
※業者選定のポイント
財務体質、経営理念、家づくりへの基本方針、施工実績、人柄、評判、見積もり金額、アフターメンテナンス、折衝過程での熱意・誠実さ
4. プラン作成依頼
数社にプラン作成及び概算見積もりを依頼します。
※見積もりでの注意点
- 見積書は決まったものがなく、業者によってバラバラである。工法や使用材料によっても違うので、必ず明細を出してもらうこと。
- 最終的な金額だけで判断をしないこと。現実的に細かくチェックはできないので、全体的なバランスと業者の信頼度が大事。外壁材など特に気になる部分はカタログを参考にしてグレードを決めておく。
- 本体工事に含まれていない別途工事には注意。いわゆるオプションである。一般的に、外構や設備工事、照明等は別扱いになっていることが多い。
- 予想より高くなってしまった場合は、無理せずに見直しをすること。必要以上のグレードや不必要な設備など無駄を省く。
5. プランの提出(概算見積もり含む)
- プラン作成を依頼した業者から、配置図、平面図、立面図などの基本的なプランを提出してもらい、説明を受けます。
-
全ての業者から説明を受けた後、依頼する業者をさらに絞り、その業者と予算や間取り等の打ち合わせを行います。その中で1社に決定します。
- この段階で、ほぼ工事の概要が決定します。一番楽しくもあり重要な段階です。
※弊社ではこの段階のサポートをさせていただきます → 間取り診断
6. 仮契約
- 一般的にこの段階で、依頼した業者に10万円を支払います。
- 本契約をするまでなら解約できますが、手付金は返金されなかったりするので、仮契約と言えども慎重に行うようにします。
7. 詳細打ち合わせ
図面や仕様書の確認をし、設備や仕上げ材料などの打ち合わせを行います。
この段階では実施設計に入っているので、間取りの大きな変更は困難です。
- ※実施設計
- 基本設計に基づいて、工事の実施および工費の内訳明細書の作成ができる段階まで、設計図書を明細化する設計作業。
8. 最終見積もり
詳細打ち合わせ後、最終的な見積書を提出してもらいます。
9. 本契約
- 設計図書、見積書、契約書、契約約款を確認の上、工事請負契約の締結をします。
- 請負契約書を2通作成し、当事者がそれぞれ保管します。
- 契約後は、全てにおいて契約書に書かれていることが優先されます。
- 契約後にプランの変更や見積りの調整を行うと、追加工事費用が発生します。
10. 建築確認申請
- 建築主は、建築物が建築基準法令等について適合するかどうかを申請書により建築確認を受けて、確認済証の交付を受けなければ建築することができません。
- 確認を受ける先は、特定行政庁(市役所等-建築課)、あるいは民間の指定確認検査機関です。
- 申請に必要な図書は、配置図、求積図、各階平面図、立面図などで、一定の小規模建築物を除いて建築士しか行なうことができません。
- 建築士は建築主の委任を受け、代理者となって申請手続をすることができます。
- 確認申請に要する期間は、申請内容に問題がなければ、木造2階建ての住宅では7日以内、構造計算が必要な木造3階建て住宅や鉄骨造・鉄筋コンクリート造の場合は21日以内に確認済証を発行するように建築基準法で定められています。
- 確認申請に必要な費用は、一般的に設計費用内に含まれています。
※一般的な確認申請に必要な費用
床面積 | 確認申請 | 計画変更 | 中間検査 | 完了検査 |
---|---|---|---|---|
30 ~100m2 | 17,000 | 4,000 | 15,000 | 15,000 |
100 ~200m2 | 24,000 | 5,000 | 17,000 | 18,000 |
200 ~500m2 | 33,000 | 7,000 | 20,000 | 22,000 |
11. 工事着工
(1)着工前に行っておくこと
解体工事があれば、地鎮祭前に整地も含めて行っておきます。地盤調査が必要であればこの段階です。新しい家を請け負う業者が決まっている場合は、その業者と相談しながら行うのがよいでしょう。自分で業者を見つける場合は、インターネット等で多くの情報を集め、見積もりを取ったりして業者選定をします。解体が終わったら滅失登記することも忘れないようにしましょう。
1)解体工事
費用は、重機の使用の有無や、道路条件・近隣状況などで変わってきますが、木造建物解体で坪約3万円、鉄骨建物で坪約4万円、鉄筋建物解体で坪約4.5万円と言われています。
2)地盤調査
木造住宅の場合はスウェーデン式のサウンディング試験と呼ばれる調査方法が一般的です。これは、先端がスクリュー状になった鉄の棒を差し、回転しながら貫入させ、その抵抗力で地盤の強さを判定します。費用の目安は、1箇所の場合2万円くらいで、3カ所を調査した場合、およそ6万円になります。調査時間は半日程度で終わります。
3)地盤改良
地盤の強度が思わしくない場合、地盤自体を補強することを地盤改良といいます。住宅の場合、その工法には表層地盤改良と柱状地盤改良とがあります。費用は、工法や建物の床面積等で異なりますが、30万円から100万円くらいです。標準的な工期は1~2日で、1週間程度の養生期間が必要になります。
- 表層改良工法 : 軟弱地盤の層が2メートル以内の場合に、表層の土とセメント系固化材と混ぜ合わせ、ローラーなどで締め固め、版状の改良地盤を作る工法。
- 柱状改良工法 : 弱地盤が2メートル以上8メートル以下の場合に、セメント系固化材を筒状に注入し土と混ぜ合わせて柱を作り、その柱で建物を支える工法。
(2)工事の流れ
地鎮祭 → 基礎工事 → 上棟 → 屋根工事 → 外壁工事 → 内装・設備工事 → 完成
1)地鎮祭
地鎮祭とは、家建てる際に、神様に工事の無事や安全と家の繁栄を祈る儀式のことを言います。お供え物をし、祝詞をあげ、お払いをして浄めます。慣例的には大安、先勝(または友引)などの吉日の午前中に行なわれることが多いようです。
手配や準備は請負業者に依頼するのが一般的です。出席するのは、施主、請負業者、工事関係者、神職です。
2)基礎工事
基礎工事とは、家の土台となる部分の工事のことで、ベタ基礎、布基礎などが一般的に多く使用されています。
- ベタ基礎 : 建物の下部に、鉄筋をマス目に組み上げ、生コンクリートを平らに15~20センチの厚さで流し込んで造る板状の基礎です。住宅に掛かる力を分散させ、住宅全体を支える工法です。
- 布基礎 : 住宅の重みが掛かる壁の下部に、幅40~60センチ程度の型枠の間に逆T字型の鉄筋を組み上げ、生コンクリートを流し込んだ基礎です。
※最初に行う地縄張り(建物の位置を決める作業)には施主も立ち会ったほうがよいと思います。その際、近隣への挨拶も済ませましょう。
3)上棟式
上棟式とは、施主が、棟梁、及びほかの大工さんへの感謝の気持ちを表し、大工さんを労う式です。今後事故や怪我のないように、工事関係者さんの安全を願う意味もあります。式の方法や次第には決まったものはなく、地域によっていろいろですが、通常、大工さんに御祝儀を渡し、折り詰めやお酒を出したりすることが多いようです。
4)屋根工事
住宅の主要構造部の一つである屋根を屋根材を用いて仕上げる工事です。屋根材の代表的な分類は、金属を使った屋根、スレートを使った屋根、瓦を使った屋根の3つに大きく分類されます。
※骨組ができあがると、最初に行う工事です。天候に左右されずに中での作業ができるようにです。
5)外壁工事
建物自体の屋外側の壁の工事のことで、代表的なものとしては、吹付仕上げや左官仕上げ、サイディング(外壁に張る乾式の外装材の総称)があります。
※外壁ができると壁の中が見えなくなるので、筋交いや構造金物あるいは断熱材等がきちんとあるかどうかを確認しておきましょう。
6)内装・設備工事
内装工事の代表的な例としては、壁面・天井の塗装やクロス貼りなどの仕上げ工事、フローリング貼りなどの床面仕上げ工事、造作家具や建具などの工事などがあります。
設備工事の代表的な例としては、空調、ガス、上下水道、キッチン、電気、などがあり、洗面化粧台・洗面器・手洗い器・大小便器・浴槽などの衛生設備工事もあります。
※このころになると、決めなければならないものが多くあります。床、天井、壁の材料や流しなどの設備機器です。早め早めに決めておくとよいでしょう。
7)その他
- 工事着工から完成まで約4ヶ月かかります。
- 工事が始まったら、時々現場に行って職人さんを労うとともに、工事の進捗状況などを確認しましょう。
- 現場で気づいたことや工事の変更については、窓口を1つにしてその担当者と話しをすること。大事なことは文書で確認しましょう。
12. 完了検査
工事が完了して建物が完成すると、完了検査の申請をします。申請後、役所の担当者が現場に完了検査に来ます。何もなければ検査済証が交付されます。この検査済証は建物の引き渡し後、フラット35や表題登記などの手続きに必要になります。
検査には、上記の検査の他に、フラット35、住宅性能表示制度、住宅瑕疵担保責任保険などによる検査がありますが、建て主の立場でチェックする検査ではありません。建て主の立場でチェックしたい検査には次のようなものがあります。
- 工事が始まるとき~敷地境界線や建物の位置の確認
- 基礎工事のとき~基礎の寸法や配筋・アンカーボルトの確認
- 建て方のとき~柱や梁などの寸法や材種及び構造金物、屋根構造、筋交い、防蟻処理、断熱材の確認
- 建具取り付けのとき~開口部の位置や高さ、開き勝手の確認
- 内装工事のとき~造り付け家具、仕上げ材、設備機器、給水栓・コンセント・スイッチの数と位置の確認
- 竣工検査のとき~内外の清掃状況、壁・床・天井・建具等の汚れ・傷・ムラ、建具の開閉具合、設備機器の作動状況、電気・ガス・給排水の可動状況の確認
13. 引き渡し
工事が完了し、請負業者から施主に建物が引き渡される前に、施主、請負業者、工事監理者で竣工検査をします。最終の手直し工事があればその確認もします。そして、引き渡しになります。その際、次のようなことを行います。
- 設備及び取り付け器具等の取り扱い説明及び鍵や保証書の受領。
- 役所(民間検査機関)検査済証や確認申請書副本の受領。
- 施工写真(特に鉄筋など隠れている部分)の受領。
- 最終金の確認と支払い。
※工事金額の支払い
- 着工時 : 一般的には工事金額の3分の1
- 上棟時 : 一般的には工事金額の3分の1
- 完成時 : 工事金額の残金
引き渡しを受け、引っ越した後には電気、ガス、水道などの手続きがあります。そして、建物を新築した場合には1ヶ月以内に建物表題登記を行うことになっています。さらに、融資を受ける場合は、抵当権設定登記もあります。