間取りの基礎
1. 敷地計画
（1）敷地条件
自然的な要素
- 新鮮な空気と豊富な太陽光線が得られること。
- 冬季に寒風を防ぎ、夏季に涼風が得られること。
- 高い土地で、湿気が少なく、かつ排水がよいこと。
- 地盤が強固であること。
- 風水害や高潮などの災害の恐れがないこと。
- 土砂崩れや崖崩れの危険がないこと。
社会的な要素
- 人や車の往来が少なく、騒音のない静かなところであること。
- 工場や危険物を取り扱う施設が近くにないこと。
- 風紀上好ましくない施設が近くにないこと。
- 上下水道、電気、ガスなどの都市施設が完備していること。
- 役所、郵便局、病院、学校などの公共施設が近くにあること。
- 通勤、通学、買い物などに便利なこと。
- 道路が整備されていること。
（2）敷地の形状と広さ
形状
- 平面的には正方形、または日照上、南北に長い長方形が望ましい。
- 断面的には、南下がりの傾斜のゆるいものか平坦なもの。
広さ
- 建築面積の3〜5倍程度。
2. 配置計画
（1）基本事項
- 道路境界線から住宅までの距離は、1〜2m程度は確保する。
- 隣地境界線からの距離は、防火、通風などのうえから1m以上とする。民法では原則として50�儖幣紊箸垢襦�
- 日照、採光などを考慮して、南側を広くあける。
- 全体の平面形状は、東西が長い長方形とし、真南または真南から15°以内東に向いた配置が望ましい。
- 居間、食事室に接してテラスを設ける。
- 勝手口まわりにサービスヤードを設ける。
- 余裕のあるアプローチを設け、玄関まわりにはポーチを設ける。
- 駐車スペースは道路や玄関と連絡しやすい位置に設ける。
（2）道路との関係
日照、通風、プライバシーまたは敷地の有効利用を考慮して配置する。
（3）敷地の状況との関連
敷地の広さ、高低差、形状を考慮して計画する。
3. 平面計画
（1）個人の生活空間
独立性・プライバシー（特に騒音、視線）、日照、採光、通風の確保。
夫婦寝室
書斎、浴室、トイレとの関連を深める。
- 方位 ： 南、南東、東
- 広さ ： 8畳以上
- 付属家具 ： タンス、TV、化粧台、洋室はベッド・サイドテーブル
- 付属施設 ： クローゼット、和室なら押入・納戸
子供室
将来の融通性を考慮。
- 方位 ： 南向きが望ましいが、部屋にいる時間や時期を考慮する必要がある。
- 広さ ： 6畳以上
- 付属家具等 ： 机、いす、書棚や洋服入れ等の収納スペース、洋室はベッド
老人室
家族との生活スタイルによって、いろいろな考えがある。南側の1階でトイレに近い方が望ましい。
- 付属家具等 ： 持ち物が多いので多くの収納スペースと簡易キッチン
（2）家族の共同的な空間
食事・団らんなどの家族の共同的な空間。家族が集まりやすくし、日照、採光、通風を確保すること。
居間
家族の団らん、娯楽などの場で住宅の中心。
- 位置 ： 住宅の中央部に設ける場合と端部に設ける場合がある。
- 方位 ： 南、南東
- 広さ ： 8畳以上
- 付属家具等 ： TV、ソファ、テーブル、書棚などの収納スペース
食事室
居間と台所との関連が重要。
- 形態 ： D型、LD型、DK型、LDK型
- 広さ ： 6畳以上
- 付属家具等 ： ダイニングテーブルセット、食器などの収納スペース
客間
客の動線に配慮。独立して設ける場合と居間等と兼ねる場合がある。
（3）家事空間
作業の能率性と生理・衛生空間とのつながりが重要である。
台所
火気を扱うために通風、換気及び内装に注意する。作業の流れを考慮し、調理機器、冷蔵庫、収納棚を配置する。家事室、浴室、勝手口、サービスヤードとの関係を考慮する。
- 方位 ： 南・南東が望ましいが、他室との関係で東または北東になることが多い。
- 広さ ： 5畳以上
- 配置形式 ： 直線型、平行型、L型、U型、島型
- 設備等 ： 流し台、調理台、レンジ、冷蔵庫、台所用品や食品等などの収納スペース（多め）、コンセントの数や位置に注意、換気扇
家事室（ユーティリティ）
調理以外の家事の中心となる場で、必要に応じて設ける。
- 位置 ： 台所、浴室、脱衣室に隣接させ、勝手口を通りサービスヤードや物干し場への動線を考える。
- 形態 ： 集中型、通路型、分散型
- 設備等 ： ミシン、裁縫台、アイロン台、収納スペース、机
（4）生理・衛生空間
生理・衛生空間として、上下階も含めて一つにまとめることが多い。採光、換気を確保し衛生的な空間にする。
トイレ
- 広さ ： 1畳以上（洋式で小便器を兼ねる場合）
- 設備等 ： 便器、手洗い器、トイレットペーパー等の収納スペース、換気扇
浴室
入浴だけでなく、緑を楽しむなどの要素を加えると良い。
- 広さ ： 2畳以上
- 設備等 ： 浴槽、換気扇
洗面所
洗濯機を置く場合、物干しや収納との関係を配慮する。
- 広さ ： 脱衣を兼ねる場合、2畳以上
- 設備等 ： 洗面台、脱衣を兼ねる場合衣類の収納スペース、洗濯機、換気扇
（5）交通空間
玄関
道路や車庫との関係を考慮し、外には庇付きのポーチを設ける。来客との対応の仕方を考える。
- 広さ ： 2畳以上
- 設備等 ： 靴箱、コート掛け、傘立て
廊下
幅は半間（91cmが多い）以上。動線は短くし、面積節約のため廊下をなくす場合は、室の独立性に注意する。居室の扉は内開きが原則。
階段
- 位置 ： 玄関、廊下、居間などの一部
- 種類 ： 直階段、かね折れ階段、折返し階段、曲り階段、回り階段
- 階段幅 ： 廊下と同じ
- 階段長さ ： 1.5〜2間
（6）収納空間
各室で使うものを考慮し、収納スペースを確保する。
- 押入 ： 特に、和室の場合、寝具、衣類などを収納するため必要。
- 納戸 ： 季節ごとに不必要となる衣類、寝具を収納するために設ける。
- クローゼット ： 衣類を収納する空間で、中に入れるウォークインクローゼットもある。
- 物入れ ： その他の物を収納する空間。