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間取り診断のハウス設計 住宅計画基礎知識

1.配置計画2.全体計画3.平面計画4.各室計画

Ⅳ 住宅設計の各室計画

ハウス設計 間取りづくりサポート

住宅の各部屋は、それぞれの使われ方を考えて計画される。ここでは、各部屋の形態や形式のほか、プランニング上、基本的なことやポイントについて述べる。

なお、右図は各部屋と方位の関係を示すが、プランニングは敷地の状況や家族の生活スタイルなどのバランスによって決まるものであるので、各部屋の方位を決める上での一つの参考資料として考えていただきたい。

 

1 個人の生活空間(寝室)

(1)形式

就寝時の静けさやプライバシーの確保のほかに、日照・通風が得られる南、南東、東の位置が望ましい。

1) 和室
  • 布団の上げ下ろしはあるが、他の用途にも使える利点がある。
  • 寝具の収納スペースの確保と布団の上げ下ろしが楽にできるような押入を設ける。
2) 洋室
  • ベットは寝起きの動作が楽である。
  • ベットメイキングのため、まわりに50cmのスペースを確保する。
  • ベッドの他、衣装戸棚、化粧台、いす、ナイトテーブル等が必要。
(2)共通ポイント
  1. 静かに就寝できるようになるべく道路から離すか、塀などで遮音する。
  2. 夏、自然通風で寝る場合は風通しの工夫をし、重ねて防犯のことも考慮する。
  3. 遮光カーテンや照明器具の工夫で快適に睡眠できるようにする。
(3)形態
1) 夫婦寝室

《1》基本事項

  • 位置:書斎、浴室、便所との関連を深める。
  • 方位:南、南東、東
  • 広さ:8畳以上
  • 付属家具:タンス、TV、化粧台、洋室はベッド・サイドテーブル
  • 付属施設:ウォークインクローゼット、クローゼット、和室なら押入、納戸、トイレ、シャワーブース

《2》プライバシー対策

子供室や水回りと隣接することも多いが、その場合、部屋の間を押入やクローゼットなどの収納空間にして緩衝地帯にする。

《3》プラスアルファの機能

書きもの、読書、TVなど、くつろぐことができるようにする。

2) 子供室

《1》基本事項

  • 位置:プライベートゾーンに設けるが、家族と常に顔を合わせられるような生活動線を考慮し、生活スタイルに合わせたプランニングをする。
  • 広さ:6畳以上
  • 付属家具:机、いす、本棚、洋服入れ、洋室はベッド、寝具などの収納棚

《2》フレキシビリティ(融通性)

子どもの生活は成長とともに年々変化する。それに対応できるように融通性のあるプランニングが必要である。例えば、小学校低学年まではワンルームで、小学校高学年になった後、間仕切りできる工夫をするとかである。また、子どもが巣立った時、有効に使える工夫も必要である。

  • 幼児期:特に独立した部屋は必要ないが、親の目が届くところで生活するようにする。
  • 小学校の低学年:リビングやダイニングなどのパブリックスペースでも十分である。
  • 小学校の高学年以上:個室が必要になる。

《3》子供室のタイプ

  • 個室万能タイプ:自分の部屋で勉強・遊び・睡眠など全ての行為ができるタイプ
  • 個室+パブリックスペースタイプ:個室を就寝だけの機能とし、勉強などの行為はリビングなどのコーナーを利用するタイプ。
  • 個室+プレイルーム:子どもが共同で使えるプレイルームを設け、その一角に勉強机を置き、ベッドのある個室は仕切って設けるタイプ。
  • 個室+ファミリースペース:家族が勉強や読書、遊びができるファミリースペースを設け、ベッドのある個室は仕切って設けるタイプ。

《4》その他のポイント

  • 子どもの視力を守るため、直射日光を避けることと夜間の照度の確保は大切。
  • 花粉やダニの死骸などによるアレルギー性疾患も急増しているので、子ども室の換気には十分な配慮が必要である。
    【対策】できれば二方向に窓を設け、風を通す。できなければガラリ付きのドアを取り付け、廊下に風を通す。欄間のあるサッシも有効である。
  • 扉には明かり取りガラスを付け、子どもの夜更かしなどがチェックできるようにする。
(3) 老人室

家族の生活スタイルによって、いろいろなプランニングの仕方がある。

《1》基本事項

  • 位置:南側の1階で便所に近い方が望ましい。
  • 付属家具等:持ち物が多いので多くの収納スペースと簡易キッチンを設ける。

《2》形態

  1. 住宅の中に1寝室として設ける場合
    • 日当たりのいい南側の一部に和室として設ける場合が多いが、寝起きのことを考えるとベットの生活が良い。
    • 静かな離れではなく、家族の気配が感じられる工夫が大切である。
  2. 二世帯住宅の場合
    • 2階建ての場合は、1階に設け、出入り口やトイレに近い方が望ましい。
    • 居室を2室程度とり、専用の台所設備やトイレを設けるようにする。
    • 段差や介護などのことを考えたバリアフリー対策が必要になる。

《3》バリアフリー対策の基本

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  1. 段差がないこと
  2. 手摺の取り付け
  3. 滑らない床仕上げ
  4. 洋式生活(ベット、洋式トイレ等)
  5. 扉は引き戸

2 家族の共同的な空間

食事・団らんなどの家族の共同的な空間で、接客のための応接室を設ける場合もある。その接客のための空間を含めて、家族の共同的な空間は住宅の規模などによって、いろいろな形態がある。プランニング上のポイントは、家族が集まりやすく、日照、採光、通風を確保することである。

(1)リビング

リビングは、家族の団らん、娯楽の場であるとともに住宅の中心であるので、日当たりがよく、風通しの良い位置に設けるとともに、個室や食事室などとの関連に特に注意するようにプランニングする。

1) 基本事項

位置:住宅の中央部に設ける場合と端部に設ける場合がある。

  1. 住宅の中央部に設ける場合
    • 家族が集まりやすく、家族の団らん、娯楽の場になりやすい。
    • リビングを中心にして、キッチンなどの動的な空間と寝室などの静的な空間に分ければ、これらの緩衝地帯になる。
  2. 住宅の端部に設ける場合
    • リビングとしての落ち着きが出る。
    • 玄関をリビングなどの共同空間と寝室などの個人空間の中間に設けることによって動線の交差を避けることができる。

方位:南、南東

広さ:8畳以上

付属家具:TV、ソファ、テーブル、リビングボード(見せる収納)、本棚(見える収納)、救急箱など日常的に使う物の収納棚(隠す収納)

2) 形態

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  1. リビングダイニング
    • 日本古来の「茶の間」とよばれる居間兼食事室もこれに当たる。
  2. リビングキッチン
    • リビング、ダイニング、キッチンをワンルームにした形態。
3) リビングを広くするための工夫
  1. 他の部屋と兼用する。
    • リビングダイニング
    • コーナーを設ける(育児コーナー、子どもが遊ぶコーナー、書斎コーナー、家事コーナー、オーディオコーナー)
  2. 客間や和室と隣接させる。
    • 引き込み戸で間仕切りをして、必要な場合は一体化できるようにする。
  3. テラスやウッドデッキを設け、外部空間を取り込む。
  4. 吹き抜けを設ける。

(2)ダイニング

ダイニングは家族の団らんの場となりやすいため、リビングとのつながりが深いが、食事の準備や後片づけなどキッチンとのつながりも深くなる。

1) 基本事項
  • 位置:居間と台所との関連が重要。
  • 広さ:6畳以上
  • 付属家具:ダイニングテーブルセット、食器などの収納スペース(見せる収納棚)
2)形態
D
ダイニングルーム
(独立したダイニング)
ハウス設計 間取りづくりサポート
  • キッチン、ダイニング、リビングの独立性が保たれ、落ち着いた空間になる。
  • 大規模の住宅に適す。
LD
リビングダイニング
(ダイニングとリビングが1つになったもの)
ハウス設計 間取りづくりサポート
  • 団らんの場が広く使えるが、ダイニングの空間とリビングの空間の雰囲気を変える工夫が必要。
DK
ダイニングキッチン
(ダイニングとキッチンが1つになったもの)
ハウス設計 間取りづくりサポート
  • 食事と調理が直結して家事の能率が極めて良く、居間の独立性も保たれる。
LDK
リビングキッチンまたは
リビングダイニングキッチン
(リビング・ダイニング・キッチンが
1つになったもの)
ハウス設計 間取りづくりサポート
  • 個々の性格があいまいになりやすいので、その対策が必要。
  • 小規模住宅に適す。
3) 食事スペースのいろいろな設け方

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  1. キッチンカウンターにつなげたダイニング
    • 食事をする人の進み具合を見ながら作れ、配膳の手間が省けるなど作業動線が短くなる。
    • 家族コミュニケーションの面からも優れている。
  2. モーニングカウンター
    • 忙しい時や、食事をとる人数が少ない時など便利。
  3. 独立キッチンの中の小さな食事コーナー
    • 忙しい主婦がちょっと食事をしたり、乳幼児がいる場合は様子を見ながら食事ができる。
  4. 掘りごたつのあるダイニング
    • 茶の間のように和風の感覚を取り入れた雰囲気にできる。
  5. 出窓を取り込んだ食卓コーナー
    • 出窓部分を食卓の一部として利用でき、食卓が広く使える。
  6. バーカウンターのあるダイニング
    • 来客のある時、夕食を楽しんだりできる。
  7. テラスまで使ったパーティーダイニング
    • 週末のパーティー、バーベキューなどができる。

3 家事空間

調理、洗濯、アイロン掛けなどの家事を行う空間で、最も作業の能率性が問われる空間である。台所や家事室はもちろんのこと、勝手口、サービスヤード、生理・衛生空間との関連性も含めて、効率よく計画したい。

(1)キッチン

キッチンは調理や片づけの場であるとともに、家事の中心となる空間だから、衛生的で能率的な作業空間でなければならない。従来は北側に配置することが多かったが、家族のコミュニケーションスペースとしての機能を持つようになったこともあり、いろいろな配置の仕方がなされている。家族のライフスタイルを考え、自由な発想で、わが家流のキッチンをプランニングしたい。

1) 基本事項
  • 位置:生理・衛生空間とのつながりが重要である。
  • 家事室:浴室、勝手口、サービスヤードとの関係を考慮する。
  • 方位:南・南東が望ましいが、他室との関係で東または北東になることが多い。
  • 広さ:5畳以上
  • 設備等:流し台、調理台、レンジ、冷蔵庫、食器棚、食品庫、使用頻度の高い調味料や調理用具棚、炊飯器・ポット・電子レンジ・トースターなどが置ける棚、換気扇
  • その他:火気を扱うために通風、換気及び内装に注意する。
2) 作業の流れ

作業の流れを考慮し、調理機器、冷蔵庫、収納棚を配置する。

  1. 調理の流れ:準備(冷蔵庫) ⇒ 洗浄(シンク) ⇒ 調理(作業台) ⇒ 煮炊き(コンロ) ⇒ 配膳(配膳台)
  2. 後片づけの流れ:膳をさげる(作業台) ⇒ 取捨(ゴミ箱) ⇒ 洗浄(シンク) ⇒ 収納(収納棚)
3) レイアウト
Ⅰ型(直線型) ハウス設計 間取りづくりサポート
  • 狭いキッチンに対応でキる。
  • 身体の向きは同じだが、横方向の動線が長くなる。
Ⅱ型(平行型) ハウス設計 間取りづくりサポート
  • 2人で作業する場合は1mの幅が必要。
  • 振り返りは多くなるが、横方向の動線は短くなる。
L型 ハウス設計 間取りづくりサポート
  • 狭いキッチンでも広い作業スペースが確保できる。
  • コーナー部分の活用がポイント。
U型 ハウス設計 間取りづくりサポート
  • 作業空間が中央にとれる合理的な配置になる。
  • コーナー部分が2カ所になるし、他室とのつながりも1面。
  • 広いキッチンに適す。
島型 ハウス設計 間取りづくりサポート
  • 周囲から複数の人が使用するのに便利。
  1. システムキッチン:シンク、コンロ、調理台、収納等を組み合わせ、天板と呼ばれる一枚板をのせてひとつにしたキッチンセットのこと。
  2. パントリー:食品庫のこと
  3. 勝手口:住宅の表玄関とは別に、台所等に設けられた出入り口のこと。生ゴミを出したり、洗濯物を干したり、買い物をしてきた荷物を搬入するのに便利。

(2)家事室(ユーティリティー)

家事とは掃除、洗濯、炊事、買物などの家庭における日常生活のことである。その中で特に、洗濯物を洗ったり、干したり、取り入れてたたんだり、アイロン掛けしたり、裁縫したりするスペースを家事室またはユーティリティーと言う。また、家計簿の記帳や手紙などの家事事務を行う場合もある。調理以外の家事の中心となる場で、必要に応じて設ける。

1) 基本事項
  • 位置:台所、浴室、脱衣室に隣接させ、勝手口を通りサービスヤードや物干し場への動線を考える。キッチン・勝手口と浴室を結ぶ動線の一部に設けるのが、最も使いやすく機能的である。
  • 設備等:ミシン、裁縫台、アイロン台、収納スペース、机(カウンター)
2) 配置上のタイプ
  • 集中型:台所や洗濯場など家事が集約される位置に設けるタイプ。
  • 通路型:通路の一部分に設けるタイプ。
  • 分散型:家事の内容ごとに分散して設けるタイプ。
3) 他室兼用の形態
  • キッチン兼用:家事労働の中心である調理と洗濯に便利。
  • サニタリー兼用:洗濯物は主に入浴時に出ることを考えると合理的。浴室に乾燥機能を備え付けた場合は、洗濯スペースは浴室の側にあった方が効率的である。
  • キッチン・サニタリーの双方と兼用:水廻りを集中させることでいくつもの家事を同時進行でき効率的である。
  • 独立型:家事作業や事務のほかに、主婦の趣味室、個室として使用でる。

4 生理・衛生空間(サニタリースペース)

便所、浴室、洗面室などを総称してサニタリーとも言う。

個人の空間を充実させるためにそれぞれの個室に設ける場合もあるが、一般的には、生理・衛生空間として一つにまとめ、家族全員が一番使いやすい場所(共同空間)に設けることが多い。また、配管の関係や、音や臭気の関係、メンテナンス、プライバシーなど考えると、サニタリーはなるべく1か所にまとめたほうが良い。

なお、トイレ・浴室・洗面を独立させたタイプ、トイレ・洗面と浴室にしたタイプ、トイレ・洗面・浴室をまとめたタイプなどがある。兼用すると面積の節約になる。

1) 基本事項
(1)洗面・脱衣室

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  • 位置:浴室の前室になるように配置。トイレの前室とする場合は、客に対するプライバシーを配慮する。洗濯機を置く場合、物干しや取り入れとの関係を配慮する。
  • 広さ:脱衣を兼ねる場合、2畳以上
  • 設備等:洗面化粧台、洗剤・石鹸・歯磨き粉などのストック棚、タオルや下着類の収納棚、洗濯機、換気扇
  • 換気・通風:換気扇だけではなく、窓を取って自然換気できるようにする。
2) 計画のポイント
  • 用途としては洗顔、化粧、歯磨き、洗髪、洗濯、脱衣などがある。
  • 洗面化粧台は歯ブラシ・コップ・へアピンなどの小物を置くところ、洗剤・石鹸シャンプーなどのストック品を収納する部分がそろうシステムタイプが多く用いられている。
  • 洗面室で化粧をする場合は、化粧ができる機能をプラスすると便利である。
  • 家族の多い場合は、ダブルシンクもいい。
  • 脱衣室兼用の場合
    • 洗濯機置き場の広さと位置に注意する。
    • 洗濯機置き場は脱衣する場所が一般的だが、使いやすい場所(例えば台所の一部)にすることが大切である。
    • 入浴時の着替えで出た汚れ物を入れる収納や、下着類の収納スペースが必要である。
(2)トイレ
1) 基本事項
  • 位置:トイレはサニタリースペースとして家族の集まるファミリーゾーンに設ける場合が一般的である。個室や主寝室のあるプライベートゾーンや応接などのフォーマルゾ一ンにも必要に応じて設ける。
  • 広さ:1畳以上(洋式で小便器を兼ねる場合)
  • 設備等:便器、手洗い器、トイレットペーパーや掃除用具等の収納スペース、換気扇
  • 換気・通風:換気扇だけではなく、窓から自然換気できるようにする。
2) 計画のポイント
  • 上階と下階に設ける場合はなるべく平面上で重なる位置にする。
  • 介助する時のことを考え、できるだけ広いスペースをとり、飾り棚を設けるなどして、衛生的で快適な空間にする。
  • トイレの扉は内開きが原則であるが、介助のことや緊急時のことを考えると外開きの方が便利である。
  • リビングなど居室に隣接させる場合は、洗面室などを前室とすることで視線、音、臭いの対策をする。
  • 広さは1畳が一般的であるが、1.5畳あれば小便器も設置できる。
(3)浴室
1) 基本事項

ハウス設計 間取りづくりサポート

  • 位置:一般的には居室を南側に配置するので、浴室は西側などに設けることが多いが、生活スタイルに応じて南向きで庭を望める最適な位置に設けることも考えられる。キッチン、浴室・洗面、ユーティリティーとの関連も考慮する。木造住宅の場合は、防水の関係で1階に配置することが一般的であるが、ユニットバスを使用することが多くなったこともあり2階に配置することも多くなった。
  • 換気・通風:換気扇だけではなく、窓から自然換気できるようにする。
  • 広さ:2畳以上
  • 設備等:浴槽、換気扇、シャワー、バスコート
2) 計画のポイント
  • 浴室は身体を洗い清潔にすることはもちろんだが、日頃のストレスを解消するためにも入浴を楽しむ工夫が必要である。
  • バリアフリーのことも考え、広さ、床仕上げ、バスタブの高さなどの安全面に配慮すべき。
  • 広がり感を出すには、出窓や洗面脱衣室との間仕切りをガラスにすることも有効である。
3) バスタブの種類
  • 和式:深さがあり、膝を折って肩までつかれる。
  • 洋式:浅く長い浴槽に寝た姿勢で入浴する。
  • 和洋折衷式:和式、洋式の両方の長所を合わせたタイプで、多く使われている。
4) 施工法
  • 現場施工(従来工法):自由にプランニングできるが、工期が長くなる。
  • ユニット(システム):防水性が高く、工期が短い。

5 交通空間

玄関、勝手口、廊下、階段などをいう。道路と敷地の関係や外構との関係のほか、動線計画を十分に考慮し、各部屋が有機的に繋がりを持つように計画する。

(1)玄関(エントランス)

玄関は、家族にとっては外と内との区切りをつける場所であり、来客にとっては第一印象を与える場になるので、それに相応しい計画をしなければならない。玄関の機能としては、出入り口としての機能、防犯機能、接客機能、収納機能等がある。

1) 基本事項
  • 位置:道路や車庫との関係を考慮し、外には庇付きのポーチを設ける。
  • 広さ:2畳以上
  • 設備等:靴箱、傘立て、コートやスポーツ用品の収納棚、シューズインクローゼット
2) 計画のポイント
  1. 簡単な接客ができる工夫
    • ちょっと広めの土間風にして、腰掛けられるスペースをつくると便利である。また、それは靴を履く時の腰掛け代わりになる。
  2. シューズインクローゼット
    • シューズインクローゼットがあると靴や傘だけでなく、レジャー用品、スポーツ用品、ベビーカーなどを収納するのに便利である。
    • 玄関からシューズインクローゼットの中が見えないようにする。
    • シューズインクローゼットからそのまま玄関ホールや居間などに行けると便利である。
  3. 面積節約のため居間と繋げる場合
    • 玄関から室内が見えないようにする。
      ※その方法:《1》家具や簡単な間仕切りで視線を防ぐ。《2》玄関扉の角度を工夫する。
(2)廊下

廊下の機能は、玄関と部屋、部屋と部屋を結ぶことで、長く居る所ではない。

1) 計画のポイント
  1. できるだけ面積を少なく
    • 動線は短くし、面積節約のため廊下をなくす場合は、室の独立性に注意する。
  2. 廊下が長くなったりした場合
    • 廊下の壁を収納スペースに当てるなど、廊下が長いことを逆に活用する。
    • また、ワークスペースやユーティリティなどと兼用するも考えられる。
  3. 中廊下
    • 部屋に囲まれた暗いジメジメした空間になりやすいので、採光・換気・通風に留意する。
  4. 幅は半間(91cmが多い)以上
  5. 居室の扉は内開きが原則
2) 廊下のない間取り
  • メリット:玄関を入るとすぐリビングというようなタイプで、家族の行動が把握しやすく、その分、リビングを広くとれる。
  • デメリット:リビングとしての落ち着きに劣る。
(3)階段

階段は上階と下階を結ぶものであり、デザイン的にも、間取り上も大きくプランニングに影響を与え、住まいの在り方を決定づけるところである。

1) 基本事項

位置:生活スタイルや玄関の位置などを考慮して計画する。

  1. 玄関ホールに設ける場合
    • メリット:吹き抜けなどを利用することで玄関を広く見せられる。
    • デメリット:お客さんの動線と2階の家族動線が重なってしまう。
  2. 廊下に設ける場合
    • メリット:お客さんの動線と2階の家族動線が重ならない。
  3. リビングなどに設ける場合
    • メリット:家族の行動が把握でき、吹き抜けなどを利用することで常に家族の気配を感じることができる。
    • デメリット:部屋としての落ち着きに劣る。階段が煙突状になることで熱などが上階に逃げてしまう。

ハウス設計 間取りづくりサポート

安全性:蹴上げの高さと踏面の幅、手摺の高さ、階段の幅など建築基準法上の決まり(最低限守るべきこと)がある。床仕上げを滑らない材料にして、明るさを保つ。

階段幅:廊下を同じ

階段長さ:1.5~2間

2) 種類
直階段 ハウス設計 間取りづくりサポート 一方向に直線的に上がる階段
  • 面積は少なくてすむが、一方向に限定されるため間取りに制約を受ける。
折り返し階段 ハウス設計 間取りづくりサポート 途中に踊り場を設け、U型に方向を変えて上がる階段
  • 踊り場の分だけ面積が多く必要だが、安全性が高い。
曲がり階段 ハウス設計 間取りづくりサポート 途中で踊り場を設けて角度を変える階段
  • 1階の上がり口と2階の降り口の方向を変えることができる
回り階段
(らせん階段)
ハウス設計 間取りづくりサポート 中心に柱を立て、そこから片持ち式に梁を出して踏み板を支えた階段
  • デザイン性に富み、面積は少なくてすむが、昇降がしづらい。

3) デザイン
  1. 箱型階段:踏板の下に蹴込み板を設けるタイプ
  2. オープン型階段:踏板の下に蹴込み板を設けないオープンなタイプ

6 収納空間

各室で使うものを考慮し、将来の収納量の増加も考慮した上で、ゆとりのある収納スペースと収納方法を計画する。収納の部屋を計画する際、忘れてはならないのが通風・換気である。湿気が多いと虫が食ったり、カビも生えやすいので窓による通風、換気扇による換気ができるようにプランニングしたい。

(1)収納のための部屋

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  1. 押入:特に、和室の場合、寝具、衣類などを収納するため必要。
  2. 納戸:季節ごとに不必要となる衣類、寝具を収納するために設ける。
  3. クローゼット:寝具・衣類・道具などを収納するための空間。押入れの事。
  4. ウォークインクローゼット:衣類用納戸のこと。通常、寝室の隣に更衣の場を兼ねて設けられる。
  5. シューズインクローゼット:玄関に設置する靴を履いたまま出入りする収納スペース。

(2)部屋ごとの収納
  • 玄関:靴箱、コートやスポーツ用品の収納棚、傘立て、シューズインクローゼット
  • 台所(キッチン):食器棚、食品庫、使用頻度の高い調味料や調理用具棚、炊飯器・ポット・電子レンジ・トースターなどが置ける棚
  • 食事室(ダイニング):ガラス器・陶器、コーヒーカップなど見せる収納棚
  • 居間(リビング):リビングボード(見せる収納)、本棚(見える収納)、救急箱など日常的に使う物の収納棚(隠す収納)
  • 和室:押入
  • 洗面脱衣室:洗面化粧台、洗剤・石鹸・歯磨き粉などのストック棚、タオルや下着類の収納棚
  • 便所:トイレットペーパーや掃除用具などの収納棚
  • 家事室:家事事務のためのカウンター付きの棚、アイロンや衣類の収納棚
  • 寝室:ウォークインクローゼット、クローゼット、納戸、和室なら押入
  • 子ども室:衣類、学習家具、おもちゃ、本、寝具などの収納棚

1.配置計画2.全体計画3.平面計画4.各室計画


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