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ハウス設計の「間取りづくり(プランニング)相談室」
<SECTION 1>
配置計画の基礎基本・チェックポイント

第0回 間取りのセカンドオピニオン

家づくりで検討しなければならないことはたくさんあります。初めての家づくりであれば、なおさらのことです。資金計画、土地選定・購入、依頼する業者の選定、構造やデザインの検討、シックハウスのこと、太陽熱利用のこと、エコのこと、ユニバーサルのこと、将来の家族のこと、etcです。その中でも最も夢が膨らみ楽しいのが間取りづくり(プランニング)です。楽しい反面、いろいろなことを考えなければならないので悩みも多いところです。住んでからの生活において、非常に大きな影響を与えるのが間取りであり、家が完成すると変更できない部分であるからです。

最近は、素人でも簡単に使える住宅間取り作成ソフトが多く利用されていますので、家族と楽しく将来のことなど話し合いながら間取りづくりをしている人も多く見かけられます。自分で苦労して作り上げた間取り図を、施工業者に依頼する前に相談できる専門の人がいたら助かるという声も数多く聞きます。業者さんと折衝するとき自分の考えをしっかり話せるからです。

間取りは業者さんから提案してもらうという方も、ほんとうにこの間取りで進めていいのだろうか、もっと他の考え方があるのではないかなど専門家に間取りの意見を聞いてみたい、あるいは間取りの相談をしてみたいと思う人は多くいらっしゃいます。医者から手術だと言われて、本当に手術しなければならないのか、他に方法はないのか、第三者の医者に相談するのと同じです。いわゆる間取りの“セカンドオピニオン”です。

ハウス設計は、住宅の“セカンドオピニオン”特に、間取りの“セカンドオピニオン”として、間取りの診断や相談を建て主の立場になり、かつ専門的な立場でサポートしたいと思っています。そこで、間取りづくりをされている方のサポートの一環として、今回から数回にかけて、「間取りづくり相談室」として、間取りづくりに関するノウハウを掲載します。完成してから後悔することがないように、間取りを考える際に押さえておくべきチェックポイントについて紹介していきます。

第1回 配置計画

1. 道路の位置による建物の配置の基本 − 道路と建物の配置について

間取り診断で送られてくる図面を見ると、簡単な建物の配置が分かる程度の図はあるものの、道路から玄関までのアプローチや庭が計画されてないものが多いようです。見積もりの中には外構に関しては別途予算になっていることが多いので、まずは、家の間取りが決まってから、庭の計画をしようということであろうと思います。しかし、家の間取りは道路との関係で大きく変わるし、外構計画は家のイメージにも大きく影響を与えます。極端に言えば、樹木一本で家のイメージは大きく変わるのです。

外構には庭(主庭、前庭、テラス、坪庭、サービスヤード等)、門、塀、生け垣、郵便受け、駐車スペースそして植栽などいろいろあります。当初の予算の中ではできなくとも、予算オーバーな部分は後から行うことも考えられます。自分でゆっくり庭を造るのも楽しいことです。計画した外構計画を建物と同時に施工しなくても、計画だけはしてお方がいいと思います。

(1) 道路の位置による建物の配置の基本
道路の位置による建物の配置の仕方
A 南側に広い庭がとれる。
B × 日当たりの悪い北側の庭になる。
C × なるべく居室の日当たりを良くするように建物は東西に長くする。
D 南側に広い庭がとれる。
E × 日当たりの悪い北側の庭になる。
F × なるべく居室の日当たりを良くするように建物は東西に長くする。
G 南側に広い庭がとれる。
H 南側に広い庭がとれる。
I × なるべく居室の日当たりを良くするように建物は東西に長くする。
J 南側に広い庭がとれる。
K 南側に広い庭がとれる。
L × なるべく居室の日当たりを良くするように建物は東西に長くする。
M 南側に広い庭がとれる。
N × 建物が西日の当たる南西に向いている。
O 南側に広い庭がとれる。
P 南側に広い庭がとれ、建物が朝日の当たる南東に向いている。
Q × 建物が西日の当たる南西に向いている。

道路の位置による建物の配置の仕方が○×で簡単に分かるように、添付資料を作りました。

道路の位置による建物の配置(A〜Q)

この○×の根拠は、「間取りの基本」にも記載したように、日当たりをよくするために建物は東西に長く南側の庭を広くとる、であります。

現実的には、敷地面積や形状、近隣の環境や道路状況そして駐車スペース等々いろいろな条件を総合的に判断して決めるものであることはいうまでもありません。

(2) 道路の位置による敷地の特徴
≪1≫ 北側道路の場合
  • 南に広く庭をとれる
  • 玄関は北側になるので、居室を南側に配置しやすい。
  • 勝手口を道路近くにとりやすい。
  • 道路が建物に近くなり、道路の騒音対策や道路からの視線対策が必要である。
≪2≫ 南側道路の場合
  • 前面が開いているので日当たりはいい。
  • 道路と建物の距離が遠くなり、静かである。
  • アプローチを南側道路からとることで
    • 庭がアプローチにより分断される可能性があり、庭のプライバシー対策が必要である。
    • 建物の外観を強調できる。
    • 間口の狭い土地だと1つしか南側に部屋が取れない場合もある。
  • 南の庭を駐車スペースにとられる。
≪3≫ 西側道路の場合
  • 西日の当たる西側に玄関を設けることで、南側に連続した居室が配置しやすい。
  • 連続した庭を作りやすい。
  • 朝日の当たる東側にLDKなど配置しやすい。
≪4≫ 東側道路の場合
  • 東側に玄関を設けることで、南側に連続した居室が配置しやすい。
  • 連続した庭を作りやすい。
  • 西日の当たる西側にLDKなど居室を配置する場合、西日対策が必要である。

しかし、実際は恵まれた条件の土地ばかりではなく、道路に対しての間口が狭いとかいろいろな敷地があります。また、狭いが故に隣家に近すぎるとか、窓が隣家の窓に面するとか、玄関が向かい合ったりしすることもあります。そんな悪条件を逆に有効に使い、我が家の特長にしていきたいものです。

2. 外構計画 − 配置計画について

配置計画は建物の間取りと同時に考えることが大切です。庭を敷地の余った部分ととらえるのではなく、積極的にきちんとレイアウトしておくことです。

(1) ゾーニング

ゾーニングとは、住宅の間取りを考えると同時に庭、カーポート、サービスヤード、アプローチをどう配置するかを検討することです。敷地の特徴(道路の位置、方位、形状、周囲の環境等)を理解し、その敷地の特徴を最大限に活用したいものです。

ゾーンの種類

≪1≫ アプローチ
道路から玄関までの通路と門まわりは家の第一印象を決める重要なポイントです。
≪2≫ 主庭
バーベキューなど活動的な庭や眺めるだけの静的な庭などライフスタイルに合わせて計画します。
≪3≫ 駐車スペース
前面道路と建物位置、車の駐車台数・大きさ、アプローチや玄関への動線を考慮し計画します。
≪4≫ サービスヤード
屋外での家事作業のスペースです。道路や勝手口との関係を考慮し計画します。
(2) 外構の形式
≪1≫ オープン型
門扉や塀などは設けないタイプで、比較的小規模な敷地に向いています。植栽を上手く利用しアプローチへの誘導や視線を遮る等の工夫をすることが大切です。
≪2≫ セミオープン型
オープン型とクローズド型のそれぞれの特長を取り入れたもの。
≪3≫ クローズド型
門扉や塀などで敷地を囲うタイプで、一般に敷地に余裕があるところに採用されています。街に対しては閉鎖的な印象を与えます。
(3) 外構のデザインスタイル

建物のデザインや周囲の環境とバランスをよく考え、外構のデザインを考えます。

≪1≫ モダン
シンプルで明るく、機能的な構成のモダンなデザイン
≪2≫ ロマン
優雅でしゃれた装飾的なデザイン。
≪3≫ 洋風
西欧の伝統的な様式や雰囲気を取り入れた洋風なデザイン
≪4≫ 和風
日本の伝統的な様式や雰囲気を取り入れた和風なデザイン
(4) 外構のチェックポイント
≪1≫ 門・塀
  • 家の外観とも調和するようにすることは当然ですが、街並みとも調和するようにします。
  • 防犯性を考えると閉鎖的にするより、むしろ開放的な方が可視性が高くて良いです。
  • 門には表札、インターホン、郵便ポスト、宅配受け、照明などの設備を備えます。
  • オープン型の場合にも簡単な門柱は設けたいです。門柱があることで外観形成状のアクセントにもなるし、防犯にも役立つからです。
  • 塀を設けない場合も、段差をつけるとか、地面の仕上げを変えるとか、 植栽することで区切りはつけたいところです。
≪2≫ アプローチ
  • 公私の行動の区切りの場であるし、客や道を行く人に対しては、 わが家らしさをさりげなく伝えるメッセージ的な役割を担う場です。
  • そのために、トイレや浴室など私的な部分を侵さないように配慮し、 門から玄関までのアプローチを長くとることによって雰囲気をつくります。
  • 場合によっては、角度を変えたり、地面の仕上げ材を変えたり、 緩やかなレベル差をつけたりして、奥行きある空間を演出するようにします。
  • 植栽も積極的に活用します。
  • 道路から主庭や居室内が見える場合は、玄関と門の位置を考えたり、 塀や植栽等で視線の対策をします。
  • 死角になりやすい場所には外灯をつけるなど防犯にも注意したいところです。
≪3≫ 庭
○主庭
テラスやウッドデッキなどで趣味やライフスタイルに合わせて計画します。室内との一体感が大切になります。一方、眺めるだけの庭もあります。特にこの場合は、室内空間との位置を考えた植栽計画が大切です。
  • 常緑樹-火災や風を防ぐ
  • 落葉樹-夏は日差しを防ぐ、冬は日差しを取り込む
○坪庭
坪単位の小さな庭のことで、面積が狭いがゆえに「主役」と「脇役」をしっかりと決めてメリハリの効いた配置が大切です。中庭・ベランダ・浴室・玄関などに設置します。
≪4≫ サービスゾーン
  • 一般的に家の側面や北側に勝手口からの動線を考えて設けます。
  • 機能としてはゴミ搬出、食材の搬入、エコキュートや給湯器の設置、 物干し場、日曜大工の作業場、漬物や泥つき野菜などの食品貯蔵庫などが考えられます。
≪5≫ 駐車スペース
  • 人と車の動線が重ならないように、車のアプローチは人の動線と別にします。
  • 直角駐車は3m×5.5m、平行駐車は8m×2.5mのスペースが必要です。
  • 駐輪スペースも忘れないようにしてください。

※タイプ

オープンタイプ
屋根なしの駐車スペース
カーポートタイプ
柱と屋根だけの簡易な駐車スペース
ガレージタイプ
独立型と建物に組み込むビルトイン型

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